報道関係

【福井新聞】


2020年9月1日

福井県鯖江市中戸口町の浄土真宗本願寺派明厳寺は、墓参りや墓の管理のサービスを代行する一般社団法人「墓もり和尚」を9月1日に立ち上げた。高齢者や障害者などにサービスを代行してもらう形を目指す。高田義紀住職(53)は「宗派を超えて、いろいろな方の困りごとに対応していきたい」と話している。27日には福井市内で無料相談会を開く。

 

 人口減少社会の中で、墓の管理は全国的な社会問題になっている。特に墓じまいについては、家族の間で意見が割れ、結局、長年墓は放置されることになり、雑草などで荒れてしまうケースも多いという。

 

 明厳寺は門徒の要望などもあり、宗派を超えてサービスを提供する法人を立ち上げることにした。

 

 サービスの柱は(1)墓参りの代行(2)墓の管理の代行(3)墓まで送迎する墓参りの同行。(1)は帰省できない県外在住の人たちなどの要望に対応し、先祖や故人へのあいさつのほか、希望があれば読経も行う。特に今年は新型コロナウイルスの影響で、帰省したくてもできないケースがあるという。

 

 (2)は墓周辺の雑草除去やごみ拾い、献花などを行う。作業前後の状態を写真撮影し、依頼者に提示する。(3)は高齢で墓参りができなくなった人たちを介助しながら墓まで送迎する。

 

 サービスは、元気な高齢者や障害者に担ってもらう形を目指している。高田住職は「高齢者には、サービスを通して、社会とかかわり、生きがいを持ってもらいたい。障害者には雇用の場にしてもらいたい」。法人は依頼者と請負者のマッチングを行っていく予定。

 

 高田住職は「先祖の一人でも欠けたら、今の自分は存在しないと気付かせてくれるのが墓。サービスを通して、先祖を大事にするという日本人の心を、後世に伝承していくことができたら」と話している。

 

 27日には福井市羽水2丁目の「大和屋」で説明会を開く。問い合わせは明厳寺=電話0778(52)6368。


2020年7月10日

福井県鯖江市中戸口町の浄土真宗本願寺派明厳寺は、先祖代々の墓の維持が難しくなった人向けに、墓守の代行サービスを始めた。福井県内にある墓を対象に、草刈りや墓参りを代わりに担う。高田義紀住職(53)は「墓は家族の縮図。寺として、家族の絆を守る力になれたら」と話している。

 

 高田住職は5年前、門徒から「体の具合が悪く、墓を維持できない」との相談を受けた。ほかにも県内で使用者不明となっている墓が多いと知り「墓が放置されている寂しい現状を何とかしたい」と、新たなサービスを思い立った。「墓もり代行」と銘打ち、商標登録出願中という。

 

 高田住職が墓を訪れ、草刈りやごみ拾い、献花を行い、合掌の上お参りする。希望者には別料金で読経もする。墓参りの模様などを撮影した写真を依頼者に送付し、サービスが行われたことを報告する。

 

 5月に利用した門徒の男性(64)=福井県越前市=は1人暮らしで、2年前から膝の具合が悪化。「墓まで階段を上るのも、草むしりでしゃがむのもつらかった。相談できる人もいない中、きれいにしてくれて本当にありがたい」と喜んだ。

 

 高田住職によると、先祖の墓が墓地内のどこにあるのかも知らず、長年放置し、雑草で荒れてしまうケースも多いという。「空き家問題同様、墓の管理も家庭内での話し合いが先送りされたまま時間が過ぎてしまいがち」と指摘。「少子高齢化や家族形態の多様化で墓守問題は今後さらに顕在化するはず。お盆や彼岸を前に、ぜひ相談して」としている。

 

 料金は一回につき1坪8千円(税別)。別途出張費として鯖江、福井、越前の各市は2千円(同)、その他の地域は3千円(同)が必要。他宗派の墓も対応できるよう検討したいという。

 

 また、墓じまい後に墓を同寺に移転し、一元管理するサービスも用意している。問い合わせは同寺=電話0778(52)6368。